ご挨拶

私は14歳、中学2年生の時に「はんだ」でハート型のリングをつくりました。
そのリングは今では、私の宝物となっています。
ジュエリーをつくること、ジュエリーで身を飾ること、ジュエリーを手にする喜びをその時すでに楽しんでいたジュエリーが大好きな少年でした。

英国・ロンドン。アンティークの都、クリスティーズ、サザビーズという世界のトップクラスのオークション会社がメイン会場を構える街。宝石をはじめ、様々なジャンルの美術品の数々が世界中から集まってきては各国のバイヤーやコレクターに求められ、それらはまた散っていきます。
そんな街に憧れアンティークジュエリーという素晴らしきジュエリーとの出会いを楽しむために、1987年にこの世界に足を踏み入れました。
現在私は、名古屋の中心地・栄の雑踏からほど近い場所に英国骨董宝飾店「ボンド・ストリート」というアンティークジュエリーのサロンを持っています。1990年の開店の際には英国総領事館の後援も頂戴し、皆様のお陰でアンティークジュエリーの専門店としては国内では指折りのお店に育てていただくことができました。

歴史文献をひもとくと、ヨーロッパにおいてはフランスのアールヌーボーと呼ばれた時代スタイルの代表的な宝飾作家ルネ・ラリックに大量の作品を依頼したカルーステ・グルベンキアンや天才時計師アブラハム・ブレゲに時計製作の依頼をしたマリー・アントワネットなど作品の完成を忍耐強く待つ歴史上の人物の姿に触れることができます。

私は、そのような作品を作り出したクラフトマンの思い入れや、オーダーした人たちの夢や理想がいっぱい詰まった作品をご紹介し続けたいと思っています。

ジュエリーデザイナー、製作者として加工技術を学び、そして企画や営業を経験してきた私にとってアンティークジュエリーの世界は常に刺激を与えてくれます。極めようとすればエンドレスです。歴史背景をはじめ、勉強しなければならないことは次々に出てきます。でも、それが楽しいし、やりがいにもなっています。

私は生涯、皆様に、夢やロマンがいっぱいつまった作品をご紹介し続けていきたいと思っています。

英国骨董宝飾店 ボンド・ストリート オーナー
中島正己